ハリケーン「ララ」—1871年以来の直撃とその爪痕

8月15日、ハリケーン「ララ」がハワイ島南岸をかすめました。上陸こそ免れたものの、台風・ハリケーンの中心を取り巻く最も風雨が強いエリアが南岸に触れる形となり、実質的な直撃に近い状態でした。ハワイ島がハリケーンの直撃を受けるのは1871年以来、ハワイを襲った熱帯低気圧としては史上3番目の降雨量を記録しています。

経済への影響:総損失 3〜5億ドル、観光は底堅く

AccuWeatherの速報推計では、総被害・経済損失は30億〜50億ドルとされています。一方、観光業への影響は限定的でした。数百便の欠航やワイキキでの一時的な道路封鎖等はあったものの、観光当局・業界関係者はいずれも「予約の落ち込みは確認されていない」との見方を示しています。観光インフラへの被害も、春先のコナ・ロー災害時を下回りました。

注意すべきは住宅に関する保険です。豪雨・土石流由来の損害は、通常の住宅保険では免責となりやすく、連邦洪水保険(NFIP)や、それを補う民間の洪水保険への加入有無が明暗を分けます。コンドミニアムの場合、こうした水災もさることながら「風災」への備えが論点となります。今回のララにおいても、ワイキキのプリンセス・カイウラニの屋上設備が強風で飛散するなど、タワー型の建物ならではの風害が発生しています。オーナー様の保険ではなく、管理組合が加入する建物全体のマスターポリシーにハリケーン特約が含まれているか、担保額が保険可能価額を十分にカバーしているかが、被害時の補償はもちろん、融資適格性の観点からも重要になります。

復旧の現状(8月31日時点)

Hawaiian Electricは、8月31日、当初予定の9月8日を1週間前倒しし、復旧可能な全顧客への送電を完了しました。損傷した送電線を含む主要設備の修復が完了し、ハワイ島で停電した約65,000戸のほぼ全てが復旧を果たしており、残る一部の地区で、道路流失により送電線の迂回工事が進められています。

8月25日には連邦災害宣言が承認され、FEMA支援が始動しており、ハワイ州の集計では、公的支援対象の被害額は8,100万ドル以上、深刻な被害を受けた世帯・物件は約790件です。なお8月23日には後続のトロピカルストーム「モケ」がビッグアイランド南方を通過し、飽和した地盤に追加の降雨をもたらしましたが、大きな被害は報告されていません。

住まいや思い出の場所を失われた方々、今なお不便な生活を強いられている地域の皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。復旧報道の一方で、道路や生活基盤の再建にはまだ時間を要する地域も残っています。ハワイ現地の一日も早い復興を願い、引き続き最新の状況をお伝えしてまいります。

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